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2026年07月01日

ケアは気づくことから始まっている

【アトリエのこだわり】

フェールマヴィ恋する石けん

朝ドラ『風薫る』で
心に残った場面


NHK朝ドラ『風薫る』を見ていて、
ふと心に残った場面がありました。

 

物語の舞台は、明治時代。


 

日本で「看護」という仕事が、
まだ今のようには
確立されていなかった頃です。


 

看護婦を目指す人たちが、
学び、訓練を重ねながら、


 

「看護とは何か」
「どこまで人に寄り添うのか」


という問いに向き合っていく物語です。


 

ある時、患者さんが、
手紙を郵便局へ届けてほしいと頼みます。

 

けれど、看護婦の訓練生は
「それは看護婦の仕事ではない」
と断ります。

 

たしかに、手紙を出すことは
看護の仕事そのものとは
少し違うのかもしれません。

 

病気を治すこと。
処置をすること。
看護婦としての役割。

 

そこには、
必要な線引きがあります。



でも、その患者さんにとって、

その手紙はきっと
ただの郵便物では
なかったのだと思います。


 

誰かに思いを伝えたい。
心残りを減らしたい。
不安な気持ちを、
少しでも軽くしたい。


 

そんな思いが、
その手紙の奥に
あったのかもしれません。

りんが見ていたもの


この場面で印象的だったのは、
訓練生たちを指導する立場にある
主人公・りんのまなざしでした。

 

りんは、
「それは仕事か、仕事ではないか」
という線引きだけで、

目の前の出来事を
見ていなかったように感じます。


患者さんが、なぜその手紙を
届けてほしいと願ったのか。

その奥にある気持ちを、
見ようとしていたのだろうなと
思ったものの・・・


訓練生の言葉も
私の中でリフレインします。

もちろん、
何でも引き受ければよい、
ということではありません。

人の願いに応えることを、
個人のやさしさや善意だけに
委ね続けることには、
難しさもあります。

自分の役割はどこまでなのか。
引き受けられることと、
引き受けられないことの
境界はどこにあるのか。


その問いも、とても大切です。

だからこそ、
ケアとは
「何でもしてあげること」ではなく、


目の前の人が
本当に必要としているものに気づき、
自分にできる範囲を
考えることなのかもしれません。


でも、まだそれが
私の中での答えと言い切れるものでもなく、
ずっと持ち続ける問いだとも思いました。

植物を使ったケアクラフト作りも、
気づくことから始まる


この場面を見ながら、
私はアロマやハーブ、手作り石けんのことを
思い出していました。

アロマやハーブ、石けん作りというと、
香りを楽しむこと。
ハーブティーを飲むこと。
石けんを使うこと。

できあがったケアクラフトを
暮らしに役立てること。


そんなふうに、
「使う場面」を思い浮かべる方が
多いかもしれません。

もちろん、それも
大切な時間です。


でも私は、
植物を使ったケアは
使う時だけにあるものではなく、
もっと前から始まっていると思っています。

どんな香りにしようか。
今日はどんなハーブを選ぼうか。
どんな油脂を使おうか。
今の自分や家族に合うものは何だろうか。

そうやって材料を選び、
吟味している時間。

その時点で、
ケアはもう
始まっていると思っています。

材料を選ぶ時間は、
自分に問いかける時間


たとえば、
アロマスプレーを作るとします。

すっきりした香りがほしいのか。
落ち着く香りがほしいのか。
気分を明るくしたいのか。
静かに休む準備をしたいのか。

精油を選ぶ時間は、
単に香りを選ぶ時間ではなくて・・・

今の自分の状態を
感じ取る時間でもあります。

石けんを作る時も同じです。

洗い上がりをさっぱりさせたいのか。
しっとり感を大切にしたいのか。
香りをつけたいのか。
あえて無香料にしたいのか。

色や質感に、
何を求めているのか。

材料を選ぶということは、

「私は今、何を心地よいと感じるのだろう」

と、自分に問いかけることでもあります。

それは、誰かのためではなく、
まず自分自身の声を聞く時間。

忙しい日常の中で、
自分が何を欲しているのかを
丁寧にすくい上げる時間。

その問いかけから、
ケアは静かに始まっています。

自分のために吟味するということ


忙しい日常の中では、
自分のことは後回しになりがちです。

家族の予定。
仕事の段取り。
家事。
外側から発生した用事。
今日中に終わらせたいこと。

そんな中で、
自分のために材料を選ぶ時間は、
とても小さなことに
見えるかもしれません。


でも、その小さな時間にこそ、
大切な意味があると思います。

自分のために選ぶ。
自分のために迷う。
自分のために吟味する。
自分の心地よさを大切に扱う。

その行為そのものが、
すでにケアなのです。

作る時間が、
感覚を取り戻してくれる


手を動かして作る時間にも、
独特の静けさがあります。

計量する。
混ぜる。
香りを確かめる。
色を見る。
感触を感じる。
容器に注ぐ。
形を整える。

ひとつひとつの作業に意識を向けていると、
頭の中でぐるぐるしていたことが
少し落ち着いてくることがあります。

それは、
完成品を得るためだけの時間ではなく、
自分の感覚を取り戻す時間なのかもしれません。

香りが立ちのぼる瞬間。
ハーブの色が移る様子。
石けん生地の重さが変わる感覚。
植物油のなめらかさ。

自分の手で選び、
自分の手で混ぜ、
自分の感覚で確かめる。

その過程の中で、
私たちは少しずつ
自分自身に戻っていくのだと思います。

もし作る時間が、
完成品を得るためだけのものだったら、
効率やタイムパフォーマンスが
大切になるのかもしれません。

でも、植物を使ったケアクラフト作りには、
効率だけでは測れないものがあります。

時間をかけること。
手を動かすこと。
香りや感触に気づくこと。

そのひとつひとつが、
心を整える小さなケアになっていきます。

使う前から、もう受け取っている


できあがったアロマスプレーを使う。
ハーブティーを飲む。
石けんで手を洗う。

その時にも、もちろん
植物の恵みを感じます。

でも、実は私たちは、
使う前からもう受け取っているのだと思います。

材料を選ぶ時に、
今の自分に気づく。

作る時に、
手を動かしながら呼吸が整う。

香りを確かめる時に、
気持ちの変化に気づく。

できあがったものを眺めて、
少しうれしくなる。

そのすべてが、
暮らしの中のケアです。

植物を暮らしに取り入れるということ


植物を暮らしに取り入れるということは、
日々の中にある小さな変化に
目を向けることから始まります。

季節の香りに気づくこと。
道端の草花に目を向けること。
ハーブの色や香りを感じること。
植物油の手ざわりを知ること。

そんな身近な感覚から、
植物との関わりは少しずつ
暮らしの中に入ってきます。

そして、
アロマやハーブ、石けん作りに
興味が出てきたら、

自分のために選ぶこと。
今日の自分に合うものを考えること。
手を動かして作る時間を持つこと。
できあがったものを暮らしの中で使ってみること。

そこから始めてみるとよいと思います。

最初から、
完璧でなくても大丈夫です。

「今日はこの香りが好き」
「このハーブの色に惹かれる」
「この石けんを使ってみたい」
「この植物油の手ざわりが心地よい」

そんな小さな感覚を
頼りにしてみる。

自分のために材料を選ぶこと。
自分のために少し手間をかけること。
自分のために作ること。

そこには、
作っている時から始まるケアがあります。

ケアは、思いに気づくところから


朝ドラの場面で、
りんが見ようとしていたのは、
手紙そのものだけではなく、
その人の奥にある思いだったのかもしれません。

ケアとは、
何か特別なことをする前に、
まず思いに気づこうとするところから
始まるのではないでしょうか。

植物の手仕事もまた、
自分の思いに気づくところから始まる、
小さなケアなのだと思います。




小さな教室を始めたい方へ


アロマやハーブ、石けん作りを
暮らしに取り入れていくうちに、


「自分でも小さな教室を開いてみたい」
と思う方もいるかもしれません。


作る楽しさを誰かに伝えるときには、
技術やレシピだけでなく、

相手の気持ちにどう寄り添うかも
大切になります。


小さな教室を始めたい方へ向けて、
講師としての境界線と寄り添い方について、
こちらの記事にまとめました。


小さな教室で本当に届けているもの

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