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2019年09月20日

嗅覚だけでない皮膚にもある匂いの受容体(東北大学持続工学研究会にて)

【セミナー、勉強会】

末吉真由美
香りの専門家として「東北大学持続工学研究会」の
研究員として籍を置かせていただいています。




その勉強会の第1回目に開催されたときは、
「宮城産薔薇の商品開発の検討」という
テーマで登壇させていただきました。


 
2019年9月19日の第2回勉強会では、
『アグロエンジニアリング推進機関としての
持続工学研究会と香りの効能』




医学者のお立場からの「香りの効能」
についての話がありました。





篠原一之教授講演

講演者は、過去AEAJの機関紙の
巻頭インタビューにも
掲載されていた長崎大学大学院
医歯薬学総合研究科教授の篠原先生。


 

匂いとホルモンの研究のオーソリティーで
いらっしゃいます。

 

 
講演内容

ホルモンについて。


・エストロジェンとは?
・エストロジェン減少が起こる時期
・エストロジェンの効果
・エストロジェン減少により引き起こされる不調
・それに対応する西洋医学的アプローチとその問題点
・脳を刺激する内因性ホルモン分泌活性化についての研究データ


 

フェロモンについて


・フェロモンとは?
・リリーサーフェロモン
特異的行動を引き起こす
(交尾受け入れ行動)


・シグナルフェロモン
個体の生物学情報を伝える

・モデュレーターフェロモン
ヒトに各種感情を惹起

・プライマーフェロモン
 内分泌系に変化をもたらす
 性成熟の促進
 発情の誘起・抑制
 妊婦の阻止
 ex)女王蜂のホルモンがメスの子宮機能を破壊するために、
   女王蜂が唯一の子供が産める存在になるとのこと
 季節外繁殖誘起(羊、山羊)

・月経同期
 腋下フェロモンによってもたらせる。
 卵胞期フェロモンは、月経を短縮し、
 排卵期フェロモンは、月経を延長する。

・腋下フェロモン
月経周期の長さを変える。

植物性香気成分で嗅覚暴露の
ホルモン分泌に及ぼす効果の実験について


・実験プロトコル
・結果とそれに基づき製品化した
香り製品技術特許


 

オキシトシンについて


・オキシトシンとは?
 コミュニケーションの能力
 子宮収縮効果など
・皮膚にも嗅覚受容体がある

オフィシャルになっている部分で
(コンフィデンシャル以外の内容)

簡単に
まとめてみます。

 

 
1。エストロジェンについて

【エストロジェン減少による
症状の出現期】
・PMS(黄体後期)
・更年期(分泌量、分泌器官の変化)
・マタニティブルー(分娩後)

 
エストロジェンの効果

 

□ 脳


・冷えから守る

・記憶力低下を遅らせる

・性欲や生殖を促進



 
□ 胸

・胸の発達
・授乳

 
 

□ 膣


・膣の分泌物を増やす
・粘膜を厚くし、清浄にする。

 


 
□ 皮膚

・保湿
・きめ

 
□ 骨

・骨密度の増加

 

 
□ 心臓・肝臓



・コレステロール量を調整し、動脈硬化を防ぐ


 
□ 子宮

・子宮の発達
・胎児の発達を促す子宮へ

 

改めてこうして、1つ1つ見ていくと、
女性のお守りホルモンとはよく言ったものですよね。

エストロジェン減少によって、美容の面でも
身体の機能の面でも衰えていってしまうという・・・。

 
2。近代西洋医学的治療法の紹介と問題点

先生が着目している
脳を刺激することによる
内因性ホルモン分泌活性化について。


 
植物性香気成分で嗅覚暴露の
ホルモン分泌に及ぼす効果の実験

 

【精油使用の問題点】

・精油には多くの香気成分が含まれ、
 産地・季節・天候状態で香気成分の含有量が異なる。

・どの成分がどのように効果があるか不明。
 (製品の規格を統一できない)

・多くは嗜好性で使用する精油が選択される。
・自然療法との考え方から客観的なエビデンスが少なく、
 経験的に用いられている。



<単一香気成分の選定>

 

まず実験において、

精油を嗅ぐ前後で
エストロジェン濃度を比較し、

 

ゼラニウム、ローズオットー、
カモミールローマンを嗅いだ後に
増加する傾向がみられていました。


 

(AEAJの機関誌でも、この実験結果は
紹介されていましたね。)


 

そこから単一香気成分を選定し、
月経周期(黄体期、卵胞期)、更年期による
エストロジェン濃度の比較したところ、


 

ある単一香気成分では、
月経周期(黄体期、卵胞期)に依存して

エストロジェン濃度が増加したのに対し、

 

別の単一香気成分では、
更年期の女性のみにエストロジェン濃度が増加
したものがありました。

 

ホルモン関連症状には、
1)情動(うつ、不安、イライラ)
2)火照り、冷え
3)関節痛、肩こり
4)不眠

があり、

 

その1)がモデュレーターフェロモン等価物で、
これに対応できるのが、実験結果から導き出された香気成分であると
お話されていました。

 

モデュレーターフェロモンとは、
ヒトに各種感情を惹起させるフェロモン。

 

この場合で言うと、
不安やイライラを軽減させるということです。


 

また一方でこんな実験の紹介がありました。

3。母親、保育士、未経産女性における

近赤外分光法による匂い暴露中の
腹側前頭前野の活動比較

 

男性が着たTシャツと新生児がきた肌着から
匂いサンプルをとって、被験者は、
匂いがするかしないか回答するというもの。

 

その結果、母親は、乳児の匂いを嗅いでいる時の
前頭前野の活動増加が未経産女性、保育士に比べ
高かった結果が出ていました。

 

これには、”オキシトシン”というホルモンが
関係しているそうです。


_______________________

アロマテラピーの学びに、


解剖生理学の勉強は必須で、

 



嗅覚の受容体は396種類あることを
知られています、



このそれぞれの嗅覚受容体は
ただ一つの匂いに反応するのではなく、
多くの類似した構造に反応し、


膨大なバリエーションが存在しているとのこと。


それまで遭遇したことのない香り成分にも
複数の受容体が反応し、
そのパターンを区別することで
匂いを特徴づけることが可能になるそうです。



つまり私たちは396種類の嗅覚受容体を使って、
可能な限り多くの違った香りを
かぎ分けているということ。



また、鼻だけではなく、
皮膚にも嗅覚受容体があることが
わかっているという話をしてくださいました。





 今1番いいと感じる
香りを選び、それに包まれながら
自分の最大臓器である皮膚に
たくさん触れることの大切さを
感じています。



アロマトリートメントという
知識と技術は、気負うことなく
自然な形で日常に取り入れられます。


よりよく生きるサポートになりますね。






 
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